アキ「遊星、私よ。まだお昼……って、あれ?」ガチャ
アキ(居ない? 出掛けているのかしら? でも鍵は掛かってないし……)
じゅうぅぅぅ……
アキ「あら、何かしらこの音? それに何だか良い匂いがする様な……」
遊星「ん、誰か下に居るのか?」←上の階から
アキ「あ、遊星。上に居るの?」
遊星「アキか。すまない、今手が離せないんだ。
悪いが上まで来てくれないか?」
アキ「え、ええ」
アキ(この音と匂い……まさか?)タッタッタッ
ガチャ
遊星「やあ。良く来たな、アキ」
アキ(……遊星がエプロン着けて料理してる)
遊星「今日は学校は休みなのか?」
アキ「ええ……それで遊星は?」
遊星「見ての通り昼飯を作っている。とは言ってもただの肉野菜炒めとスープだけどな」
アキ「ゆ、遊星って料理出来たのね」
遊星「サテライトに居た頃は良く作っていたんだ。簡単なものしか作れないが……よっと」
アキ(フライパンを返すのも凄く様になってる……)
遊星「だが久しぶりだから少し感が鈍っているというか……アキ、良ければ少し味見してみてくれないか」
アキ「え?」
遊星「確かこんな感じで良かったと思うんだが……あ、箸はそこにあるのを使ってくれ」
アキ「そ、それじゃあ……いただきます」パクッ
遊星「どうだ?」
アキ「……美味しい」モグモグ
アキ(少なくとも、私のよりもずっと……)
遊星「そうか。アキにそう言って貰えると何だか嬉しいな」
アキ(確かにただの肉野菜炒めだけど、凄く美味しい)
遊星「アキは昼飯はまだか? 良かったら……」
アキ(そうよね。遊星は何だってそつなくこなすもの。料理が出来たって全然おかしくないわ)
遊星「アキ?」
アキ(私が料理を作ってあげる必要なんて……最初から無かったのよ)
遊星「おい、アキ」
アキ「……え?」ハッ
おいwwwwww
遊星「どうしたんだ、急にぼんやりして……もしかして俺の料理、本当はまずかったのか?」
アキ「そ、そんな事ないわ! とっても美味しかったわ、本当よ!!」
遊星「そこまで必死になって言わなくても良いが……ん、その手に抱えている包みは何だ?」
アキ「こ、これは!?」サッ
アキ(見せられないわ。こんな、不格好なお弁当……)
遊星「アキ?」
アキ「これは何でもないの……私、帰るわね。
ご飯時にお邪魔しちゃってごめんなさい」
遊星「待て、アキ。お前何だか様子がおかしいぞ?」
アキ「別におかしくなんてないわよ。遊星の気のせいじゃない?」
遊星「ここに来たのも何か用があったんじゃないのか? もしかしてその包みに関係が……」
アキ「もう、何でもないって言ってるでしょ!!」
ツルッ
遊星&アキ「「あ」」
グシャ
アキ(お弁当が床に落ちて……おまけに包みも解けて中身が!?)
遊星「アキ、このお弁当は……?」
アキ「み、見ないで!」サッ
遊星「……もしかして俺に作ってくれたのか?」
アキ「ち、違うわ! こ、これは自分用で……」
遊星「……ご飯の所に海苔で『ユウセイ☆ガンバ』と書かれているみたいなんだが?」
アキ(うわぁぁぁ、この部分だけ崩れずきっちり残ってるぅぅぅ!?)
アキ「ち、違うの! こ、これは遊星を食べて強くなろうっていう意味で……あ、でも食べるって言っても嫌らしい意味はないのよ、全然!!」
遊星「落ち着け、アキ」
アキ「ち、違うの! これは、その……」ウルウル
アキ(勝手に舞い上がって、勝手に嫉妬して、勝手にヘソ曲げて)
アキ(その揚句にせっかく作ったお弁当をぶちまけて、台なしにして……)
アキ「違うの……違うのよぉ……」ポロポロ
遊星「…………」
抱きしめたい
いいぞいいぞ遊星
遊星「………」
アキ「ひくっ……ひくっ……」
遊星「…………」ヒョイ
アキ「ひくっ……遊星?」
遊星「…………」パクッ
アキ「!?」
遊星「うん、美味しいじゃないか、この肉団子」モキュモキュ
アキ「ゆ、遊星!? 何床に落ちた物食べてるのよ!!」アセアセ
遊星「手づかみは行儀が悪かったか?」
アキ「そういう問題じゃないでしょ! そんな床に落ちたお弁当、汚いわよ!!」
遊星「全部零れた訳じゃない。それに零れたのだって埃を払えば十分食べられる」
遊星「それに食べ物を粗末にするとマーサに怒られるからな」ヒョイパクッ
アキ「ああ、また食べた! ポンポン痛くなっても知らないわよ!?」
遊星「それにせっかくアキが俺の為に作ってくれたんだ。床に落ちたくらいで食べないなんて勿体ない。
今日の昼飯はこれにしよう」
アキ「に、肉野菜炒めはどうするのよ?」
遊星「それは夕飯に回す。今はアキの弁当が食べたい」
遊星「作ってくれてありがとうな、アキ」ニコッ
アキ「///」カァァァ
遊星「さて、とりあえず肉野菜炒めとスープは冷蔵庫に閉まって……」
アキ「……や、やっぱり駄目!!」バッ
遊星「お、おい?」
アキ「こ、これでもしお腹壊したら私のせいになるでしょ? そういうの、やっぱり、嫌だし……」
遊星「俺は気にしないぞ?」
アキ「私が気にするの! そ、それに……」
アキ「こ、こんなお弁当なら……これから何度でも作ってあげるから」///
アキ「そ、それじゃ私は帰るから!!」ダッ
遊星「あ、アキ」
ドアバタン!
遊星(……本当に帰った)
遊星「仕方ない、飯にするか……皿はっと」
遊星「…………」カチャカチャ
遊星「(ボソッ)肉団子……」
…………
アキ(何よ、何よ、何よ! あそこであんな笑顔は反則じゃない!)
アキ(決めたわ。今度は絶対、遊星の作った物よりもっと美味しい物を作ってあげるんだから)
アキ(覚悟してなさいよね、遊星!)
深影「あら、今度は牛尾君が体調崩したの?」
牛尾(あんなに不器用な奴とは思わなかった)ゲッソリ
おわり
読んでくれた人、ありがとうございました。
ファイブディーズのSSは他に『遊星「新型エンジンが完成しない……」』や『遊星「アキ、お前のDホイールが出来たぞ」』など書いているのでもし見かけたらよろしくお願いします。では。
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ニヤニヤして読んだ
遊星イケメンすぎだなホント
遊星さんの万能感は異常
引用元:http://viper.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1383126625/