…………
遊星「スイマセン、ご飯までご馳走になってしまって」
節子「気にしないで、まだお昼食べてないって言うから。遊星君の口に合っていたら良かったんだけど」
遊星「美味しかったです。こういう家庭的なご飯好きなので」
節子「あら、そうなの? ねえ、アキ聞いた? 遊星君、家庭的なご飯が好きなんですって!」
アキ「ああ、そうなの……」
遊星「アキ、何だかさらに疲れていないか?」
アキ「何でもないわ……そういえばパパは? 今日は早く帰って来るって言ってなかった?」
アキ(まあ居ないなら居ない方が良いんだけど)
節子「さっき電話があったわ。何だかトラブルがあったみたいで少し遅くなるって言ってたけど……」
アキ「けど?」
節子「遊星君が来てるって言ったらすぐ帰るって。多分もう家に着く頃じゃない?」
アキ「余計な事言わなくて良いから!!」
<ユーセークン! ユーセークンハドコダー!!
節子「あ、帰って来たみたいね♪」
遊星「本当に大丈夫か、アキ?」
アキ「orz」
英雄「久しぶりだね、遊星君! 元気にしてたかね!!」
遊星「ご無沙汰してます。スイマセン、服までお貸しして頂いて」
英雄「いや、君になら服の1枚や2枚、喜んで譲るよ! ついでに娘の方も何時でも……」
アキ「パパ!!」
英雄「せっかく来たんだ、ゆっくりしていくと良い! 母さん、ビールとコップ2つ!!」
節子「あら、お昼からお飲みになるんですか?」
アキ「コップ2つって……遊星はまだ未成年よ?」
英雄「固い事言うな、アキ。男は早い内に飲める様になっていた方が良いんだぞ?」
アキ「議員が未成年にお酒飲ませたらそれこそスキャンダルでしょ!?」
遊星「確かに飲めませんがお酌くらいなら……」
アキ「いや、遊星も気を遣わなくて良いから」
ユベルの次くらいにヒロイン力が高い
英雄「お昼ご飯を食べたのかい? なら夕飯も食べて行きなさい。なんなら泊まって行っても構わないよ」ウキウキ
節子「今日はたくさんお話ししましょうね、遊星君」ウキウキ
アキ(もうやだ、この両親……)
遊星「え、えっと……あ、ちょっとスイマセン。電話が掛かって来たみたいなので」
遊星「もしもし、クロウか……ああ、今アキの家に……え? 高級ステーキが何だって?」
遊星「ああ……分かった……じゃあ後で」ピッ
アキ「どうしたの? クロウからの連絡みたいだったけど?」
遊星「ああ、詳しくは分からないがどうやら牛尾が俺達に用があるらしい……という訳でスイマセン。
そろそろお暇させて貰います。ちょうど雨も止んだみたいですし」
英雄&節子「「そんな!?」」ショックリボー
アキ「夫婦揃って世界が終わったみたいな顔しないでよ……」
…………
遊星「本当に色々ありがとうございました」←服乾いたので着替えた
節子「大したおもてなしも出来なくてごめんなさいね。また何時でも遊びに来て構わないから」
アキ「じゃあ途中まで遊星を送って行くわね」
英雄「アキ、今は男女平等の世の中だ」
アキ「……いきなり何?」
英雄「だから女だって送り狼になっても構わないとパパは……」
アキ「それ以上何か言ったら本気でブロック・ローズ・ガイルするから」
<マタキテネーゼッタイダヨー
遊星「……まだ手を振ってくれてるな」ノシ
アキ「本当にごめんなさいね、騒がしい両親で……普段はもう少し大人しいんだけど」
遊星「別に気にしないさ。それに安心した」
アキ「安心って?」
遊星「うまくいってるみたいじゃないか、家族関係」
アキ「…………」
遊星「もう何も心配はなさそうだ。本当に良かったな、アキ」
アキ「そう見える……かしら?」
遊星「ああ、少なくとも俺の目には仲の良い理想の家族として映っている。アキ自身はどう思うんだ?」
アキ「私も……うん、上手くいってると思う」
遊星「こんな事を言うのも何だか、正直俺はアキが羨ましいよ」
アキ「羨ましい?」
遊星「俺は物心ついた時にはもう両親は居なかったからな。仲間は昔から居たが、家族は居なかった」
アキ「あ……」
遊星「今日、風呂に入った時や食事を作って貰った時、何だかとても温かい気持ちになれた。
きっとこれが家庭の温かさ何だろうな……屈託なく両親と喋るお前の姿もとても眩しく見えたよ」
アキ「もしかして遊星が家庭的なご飯好きって言ったのも……」
遊星「ああ、それもあるかもな。
味覚が子供っぽいのも小さい頃、滅多に食べられなかったああいう物に憧れていたせいかもしれない」
遊星「アキ、仲間との絆は強いものだが、家族の絆も同じくらい強いものだ」
遊星「お前は一度失いかけたそれを再び得る事が出来た……大切にしろよ、その絆」
アキ「……うん」
遊星「まあ、俺が改めて言う事でもないだろうがな」
アキ「……あの、遊星」
遊星「ん、何だ?」
アキ「家族……やっぱり欲しいって思う?」
遊星「え?」
アキ「その、遊星次第によっては……まだ作れる方法あると……思うのよね」
アキ「それなら私でも……相談乗れると思うん、だけど……」
遊星「アキ?」
アキ「……ご、ごめんなさい! 今の無し! 何でもないから忘れて!!///」
遊星「あ、ああ。分かった」
アキ「えっと、そのね……そうだ、私今料理の勉強してるのよ。料理の上手な知り合いに色々と習いながら」
アキ「だからこの前は失敗しちゃったけど……今度はちゃんとご馳走してあげるから」
アキ「遊星の好きな家庭的なご飯、食べさせてあげるから。勿論肉団子も入れて、ね♪」
遊星「……ありがとう。楽しみにしてる」ニコッ
アキ「じゃ、じゃあ行きましょうか。もう少し先まで送るから」
遊星「ああ」
アキ(もう、私ったらいきなり何を言い出してるのよ。今の一つ間違えたらその、プ、プロ、プロポ……///)
アキ(……でも遊星が求めるモノを与えられたら良いなって思うのは本心なのよね。それに)
…………
節子『たまには自分の気持ちに素直に行動しても良いと思うんだけど?』
…………
アキ「…………」
遊星「…………」
アキ「…………///」ギュ
遊星「……アキ?」
アキ「ちょっと……冷えるから///」
アキ「こうすれば、その……温かいでしょ?///」
遊星「…………」
遊星「……そうだな」ギュ
翌日、アキがこのシーンを目撃したクラスメートからクレープ屋の件と併せて色々と根掘り葉掘り聞かれる事になるのはまた別の話。
<おわり>
読んでくれた人、ありがとうございました。
この話の前日譚として『アキ「遊星ってちゃんとご飯食べてるのかしら?」』という話もあるのでもし見かけたらよろしくお願いします。では。
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引用元:https://hayabusa.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1385125625/