…………
アキ「……うぅ~ん」
アキ(ここは……公園のベンチの上?)
アキ(私、何でこんな所に? 確か走っていたら急に気分が悪くなって、それで……)
遊星「――気がついたか?」
アキ「って、きゃあ!? ゆ、遊星?///」ビックリボー
アキ「なっ、何で遊星がここに?」
遊星「お前のお母さんから連絡があったんだ。最近アキの様子がどうもおかしいとな。
それで今は町に出てると聞いたから、気になって探しに来たんだが……」
遊星「来て正解だったな。まさか行き倒れているとは思わなかった」
アキ「うぅ……///」カァァ
遊星「とりあえずこれ。近くの店で買って来た」
アキ「サンドイッチ……?」
遊星「お腹空いているんだろ? 寝言で食べ物の名前をブツブツ呟いてたぞ」
アキ(わりと本気で死にたい……)ズーン
遊星「すきっ腹で走るからこういう事になるんだぞ」
アキ「……ごめんなさい」
遊星「ダイエットか?」
アキ「……さすがに分かるわよね」
遊星「正直、俺は今のアキにダイエットなんて必要ないと思うけどな」
アキ「…………」
アキ「……嘘つき」
遊星「アキ?」
アキ「私の事、丸いって言ってたくせに」
遊星「え?」
アキ「私、聞いたんだから……遊星が最近の私、丸くなったって」
遊星「……やはりあの時外に居たのはアキか」
アキ「盗み聞きしたのは悪かったけど……私が居ないところでああいう話をする遊星達も悪いと思うわよ?」
遊星「そうだな……それは俺達が悪かった。すまない、アキ」
アキ「私だって……一応は女の子なのよ?」
アキ「誰かに丸いって、太っているって言われるのはやっぱり嫌だし」
アキ(特に遊星、あなたには……)
遊星「…………」
アキ「だから私は、早く痩せようって頑張って……」ウルウル
遊星「アキ、お前は大きな勘違いをしているぞ」
アキ「へ?」グスッ
遊星「何処まで聞いたのか知らないが、俺が丸くなったと言ったのは『性格』の話だ。『体系』の事じゃない」
遊星「最近のアキは最初に会った時よりも優しい雰囲気が前に出て来た。だから丸くなったと言ったんだ」
アキ「…………」ボーゼンマイン
アキ(た、確かにそれでも話の辻褄は合うわね。じゃあ何? 単に私の勘違いだったって事?)
アキ(だけど事実体重は増えてたし、それに……)
アキ「う、嘘よ! 遊星は私が傷つかない様に嘘をついてるのよ!!」
遊星「俺の言葉が信用出来ないのか?」
アキ「だ、だって遊星は……優しいから」
アキ「優しいから、誰かを傷つけない為なら、嘘だってつくし……」
遊星「…………」
アキ(何を言ってんだろ、私……何で素直に受け止められないの?)
アキ(遊星が優しいって知ってるなら……陰で誰かの悪口になる様な事を言うはずないって、分かるはずなのに)
遊星「……アキ、1つ言っておきたい事がある」
アキ「……何よ?」
遊星「俺はお前が思っているほど、優しい男じゃない」
アキ「え?」
遊星「だから我が儘だって言う事もある」
アキ「遊星?」
遊星「もう無理なダイエットは止めて欲しい。さっきお前には必要無いと言ったのも本心だ。なぜなら――」
遊星「俺は今のアキが一番好きだからだ」
アキ「ふえ!?///」
遊星「だから今の姿を無理に変えて欲しくない。それは『体系』も『性格』もだ」
遊星「勿論これは俺の我が儘だ。無理の無いダイエットなら続けてくれても構わない」
遊星「だが俺は今のアキが一番良いと思っている。その事を、心の中に少しでも留めておいて欲しい」
アキ「…………///」
アキ「……はい///」コクン
…………
遊星「さて、そろそろ帰るか。家まで送って行くよ」
アキ「……ねえ、遊星」
遊星「何だ?」
アキ「私、本当に丸く無い? ダイエット、必要ないと思う?」
遊星「ああ、むしろ運ぶ時に軽過ぎて少し心配したくらいだ」
アキ「運ぶ時?」
アキ(そういえば私、倒れた場所からベンチまで遊星に運ばれたのよね? という事は……)
アキ「ゆ、遊星。私を運ぶ時、あなたどうやって私をここまで連れて来たの?」
遊星「どうやってて……普通に抱きかかえただけだが?」
アキ「そ、それってまさかお、お、お姫様だっこ、とか?///」
遊星「ああ、そうだな」
アキ「途中……だ、誰かに見られたりとかは……?///」プルプル
遊星「そりゃ街中を歩いたからな。そういえばアキくらいの年ごろの女子3人がやけにこっちを見ていた気がするが……アキ?」
アキ(……もう絶対に空腹で外を走ったりしない)ズーン
十六夜邸・風呂場……
カポーン
アキ(何だか慌ただしい1週間だったわ。でも最後は……)
遊星『俺は今のアキが一番好きだからだ』
アキ「…………///」
アキ(わ、分かってるわよ。遊星の事だからそういう意味で言った訳じゃ無い事くらい!)
アキ(それに遊星は今のままで良いって言ってくれたけど、さすがに太り過ぎだと思うし)
アキ(せめて3ヶ月前の体重には戻さないと。遊星も無理をしなければダイエット自体は続けても良いって言ってたし)
アキ「とりあえずそろそろ上がりましょう……さすがにのぼせそうだわ」
アキ「ああ、良いお湯だった……あら?」ホカホカ
アキ(体重計が……変わってる?)
アキ「ママ~」
節子「なあに? 着替えでも忘れたの?」
アキ「そうじゃないんだけど、体重計……」
節子「ああ、そういえばアキには知らせて無かったわね。前の壊れてて、今日新しいの買ったのよ」
アキ「へ?」
節子「今度のは新しい機能が色々付いているみたいよ。試してみなさいな」
アキ「……ひょっとして」
アキ「~~~♪」←声にならない喜び
アキ(3ヶ月前と同じ体重~♪)バンジャーイ
アキ(そうよね、見た目も全然変わってなかったもの! 良かった、本当に良かったわ!!)
アキ「…………」
アキ(……でも1週間ダイエットして3ヶ月前と同じ体重って事はやっぱり少しだけ太ってたのかしら?)
アキ「い、良いのよ、とりあえずは元に戻ったんだから……早く服を着ましょう、うん」
アキ(でも本当にお腹や足とかに変化はなかったのよね。一体何処にお肉付いたのかしら?)
アキ「…………」
アキ「……う~ん?」
アキ「気のせいかしら……最近ブラのサイズがきつくなった気がするのよね」
おわり
読んでくれた人、ありがとうございました。今更ですがこの話は以前書いた、
の続きとなっています。もし上の二つを何処かで見かけたらよろしくお願いします。ではまたクリスマスにでも。
https://yugioh-souba.com/?p=675
https://yugioh-souba.com/?p=679
引用元:https://hayabusa.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1385784223/