【遊戯王SS】遊星「やっと食べれる」

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23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:21:48.09 ID:Ej21GwmGO

そしてデート当日……

アキ(さて、待ち合わせの時計台の前に来たけど……)

アキ「いくらなんでも来るのが早過ぎたわ。集合時間は10時なのに……」

現在の時刻『AM7:55』

アキ(二時間以上も前に来てしまうなんて……さすがに遊星はまだ来てないわよね)キョロキョロ

アキ(でもしょうがないじゃない、楽しみだったんだから。というか楽しみ過ぎて昨日はなかなか眠れなかったわ)スイミンブソックス

アキ(だけど……主役のお弁当は今までで一番良いのが出来た気がするわね)

アキ「遊星の好きな肉団子もたくさん入ってるし……今度こそこれを食べた遊星の笑顔が見られたら良いな」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:26:08.67 ID:Ej21GwmGO

『AM8:55』

アキ(まだ後1時間ちょっとか……やっぱり早過ぎたわね)

アキ(でも誰かを待つのって意外と悪くない……ん?)

ポタッ……ポタッ……

アキ「……雨?」

アキ(小雨だけど……おかしいわね、天気予報のお姉さんは今日一日晴れだって言ってたのに)

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:30:45.47 ID:Ej21GwmGO

アキ(これぐらいの雨ならすぐに止むわよね? だけど何だか向こうの空の具合が徐に悪くなって来たような……)

アキ「…………」

アキ「だ、大丈夫よ。遊星が来るまでに止んでいれば良いんだから」

アキ「私は天気予報のお姉さんを信じるわ。とりあえず小雨が止むまでそこのコンビニに避難してましょう」

『AM9:10』

ザアアアアァァ……

アキ「…………」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:33:53.47 ID:Ej21GwmGO

アキ「何よ、土砂降りじゃない……今日は晴れのはずじゃなかったの?」

アキ(全然止む気配もない。これじゃあ……)

<レディトゥゴーギンガノハテマデオイカケテユクー

アキ(遊星から電話?)

アキ「もしもし、遊星?」

遊星『アキ、外は見たか?』

アキ「うん、凄い雨ね」

遊星『天気予報では一日晴れと言っていたんだが……仕方がないな』

遊星『止みそうもないし、残念だが今日は中止にしよう』

アキ「…………」

アキ「……そうね」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:37:21.13 ID:Ej21GwmGO

遊星『すまない。俺から誘ったのにこんな事になって』

アキ「良いのよ。遊星が悪い訳じゃないんだから」

遊星『……もしかしてもう家を出ているのか?』

アキ「ううん。ちょうどこれから出ようとしてたところだったの。
良いタイミングに電話をくれて助かったわ」

遊星『本当か?』

アキ「こんな事で嘘ついてどうするのよ。じゃあお弁当はまた今度って事で」

ピッ

アキ「…………」

アキ「……お姉さんの嘘つき」グスッ

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:42:35.19 ID:Ej21GwmGO

アキ「…………」ゴシゴシ

アキ(とりあえずしばらくはここで雨宿りした方が良さそうね)

アキ(でも雨、本当に止む気配がないわ)

アキ(それに何だか遊星が来ないって分かった瞬間から、ここに居るのが辛くなって来たし……)

アキ「…………」

アキ「スイマセン、このビニール傘下さい」

アキ(少しくらい濡れてもいいや……もう帰りましょう)

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:46:50.41 ID:Ej21GwmGO

ザアアアアァァ……

アキ「もう! 何なのよ、この天気は!!」

アキ(何だか風も強くなって来たし……やっぱりもう少しあのコンビニに居るべきだったわ)

アキ「もう絶対にあのお姉さんの事は信じないから……ってきゃあ!?」

バターン

アキ「な、何でこんな何もない所で……痛っ!?」

アキ(うぅ、膝擦りむいちゃった……って、あれ?)

アキ「お弁当……遊星にあげるはずだったったお弁当が入ってるバスケットは?
さっきまで手に持ってたのに?」キョロキョロ

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:49:07.57 ID:Ej21GwmGO

アキ(あ、道路に転がってる! 早く拾わないと……)

<プップー

アキ(え?)

グシャ! バシャーン!

お弁当「」←車に轢かれてペッシャンコ

アキ「…………」←泥水かけられてびしょ濡れ

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:53:56.37 ID:Ej21GwmGO

アキ「…………」

アキ「……アハハ」

アキ「……さすがにもう、どうしようもないわね、これは」

アキ(何よ、これ……少し前まではあんなにウキウキしてたのに)

アキ(今日一日、とても楽しく過ごせるはずだったのに……)ジワッ

アキ「私が……何をしたっていうのよ……?」ポロポロ

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 16:58:00.84 ID:Ej21GwmGO

アキ「ぐすっ……ひくっ……」

アキ(もうやだ……何で私、こんな……)

アキ「ぐすっ……遊星ぇ……遊星ぇ……」

遊星「――呼んだか?」

アキ「……え?」

遊星「やっぱりもう家を出ていたんだな。こんな事で嘘をつくな」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:03:18.88 ID:Ej21GwmGO

アキ(何で遊星が……ここに?)

遊星「びしょ濡れじゃないか。傘は……転がってるこれか」

アキ(夢? 幻? ううん、現実に遊星は私の前に居る)

遊星「膝大丈夫か? 立てるか?」

アキ(遊星が来て……くれた)

アキ「うっ、ふぇぇん……えぐっ、ひくっ……」ポロポロ

遊星「……とりあえずポッポタイムのガレージまで来い。これ以上ここに居たら風邪を引く」

遊星「さあ、俺の手を掴め」

アキ「ぐすっ……うん」コクン

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:06:24.17 ID:Ej21GwmGO

…………

遊星「よし、膝の手当てはこれで良いだろう」

アキ「……迷惑かけてごめんなさい」

遊星「気にするな……いや、こう言うとアキは逆に気にするんだったか」

アキ「今は遊星一人、なの?」

遊星「ああ。クロウは仕事、ブルーノはセキュリティに用があるらしい。
ジャックは……多分何時もの喫茶店だろ」

遊星「ほら、アキの好きな紅茶だ。温まるぞ」

アキ「……ありがとう」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:09:13.11 ID:Ej21GwmGO

アキ「ねえ、遊星……何で来てくれたの?」

遊星「え?」

アキ「私、まだ家に居るって嘘ついたのに、何であの場所に来てくれたの?」

遊星「……アキに電話をした時、受話器の向こうから店員らしき人の声が聞こえた気がしたんだ。
だからアキが何処かの店に居ると想像は出来た」

遊星「だが俺の記憶ではアキの家の近くにそれらしい店はない」

遊星「そしたらふと、時計台の近くにコンビニがあったのを思い出してな。それでもしかしたらと思って……」

アキ「近くを探してくれたって事?」

遊星「そういう事だ。しかし行ってみて本当に良かったよ」

アキ「…………」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:10:53.90 ID:BG4Canmd0
ダイエットの人?

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:13:58.20 ID:Ej21GwmGO
>>40
そうです

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:15:33.47 ID:Ej21GwmGO

遊星「……雨、凄いな」

アキ「……そうね」

遊星「そういえばあの時も急な雨だったな」

アキ「あの時って?」

遊星「前にアキの家に行った時さ。あの時は風呂にまで誘われて、正直戸惑った覚えがある」

アキ「そういえばそうね……もしかして私って雨女なのかしら?」

アキ「こんな大事な日にも……雨が降るんだもの」

遊星「アキ?」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:18:41.44 ID:Ej21GwmGO

アキ「遊星が私のお弁当食べたいって言ってくれた時、私とても嬉しかった」

アキ「だから今日のお弁当は、凄く頑張って作ったの……それで自分で言うのも何だけど、結構良いのが出来たのよ」

アキ「だけど今日は雨が降って外で……食べられなくなって……」

アキ「肝心の……ひくっ……お弁当も落として……轢かれて……駄目にして……」ジワッ

アキ「ごめんなさい……遊星……ひくっ……お弁当食べさせてあげられなくて……ごめんなさい……ひくっ……」ポロポロ

遊星「アキ……」

アキ「な、泣かれても遊星も、ひくっ、困るわよね……分かってる、ごめんなさい……すぐ、泣き止むから……」

アキ「うぅ……えぐっ、えぐっ……ごめんなさい……ごめんなさい……」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:24:06.64 ID:Ej21GwmGO

遊星「アキ、お前は何も悪くない。謝る必要なんてないんだぞ?」

アキ「だけど……私……何だか申し訳なくて……」

アキ「遊星に、ひくっ、迷惑、ひくっ、かけてばっかりだし……」

遊星「…………」

アキ「うぅ……ぐすっ……ひくっ……」

遊星「…………」

遊星「…………」ナデナデ

アキ「ぐすっ……ゆ、遊星?」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/10(火) 17:26:35.35 ID:Ej21GwmGO

遊星「子供の頃、何だが……」

遊星「辛い時や悲しい時に泣いていたら、マーサがこんな風に頭を撫でてくれたんだ」

遊星「そうすると不思議なもので、何だか安心した気持ちになって……自然と涙も止まってきたんだ」

遊星「俺にマーサと同じ事が出来るかは分からないが……」

遊星「アキの悲しんでいる姿は、あまり見たくない。だから……」

アキ「遊星……」

遊星「…………」ナデナデ