・『遊戯王ZEXAL』のほのぼのSSです
・時間軸は本編の最終回後でドルベは神代家に居候している設定です
・若干(?)のキャラ崩壊注意
神代家……
璃緒「うーん……」
凌牙「どうした、唸って? 便秘か?」
璃緒「違います。それ、レディに向かって言う言葉じゃないわよ」ギロリ
凌牙「睨むなよ、ただの冗談だ。で、何を見てんだ?」
璃緒「ご自分の目で確かめてみなさいな」ポイッ
凌牙「何だ、ただの家計簿じゃねえか。これがどうかしたのか?」
璃緒「どうかしたかじゃないわよ。見てよ、今月だけでこんなに使ってるのよ? 赤字よ、赤字」タメイキング
凌牙「確かに多い気もするがこれくらいならまだ許容の範囲だろ?」
璃緒「そうだけど少なくとも私達が学生の間はお父さん達が残してくれたお金で何とかしないといけないのよ。この調子だと先が思いやられるわ」
凌牙「そう言われてもな……同居人も増えたし仕方ないんじゃないのか?」
璃緒「それもあるけど一番の出費はやっぱりこれなのよね」
凌牙「何だ?」
璃緒「入院費」
凌牙&璃緒「…………」
璃緒「というか凌牙幾らなんでも入院し過ぎよ! この半年で5回とかふざけないで!!」プンスカブックス
凌牙「うるせーな! お前だって滅茶苦茶長い間、入院してただろうが!!」プンスカブックス
凌牙&璃緒「…………」ゼェゼェ
璃緒「とにかく凌牙はこれ以上入院しなくても済むよう、身の安全をしっかりしなさいよね。ウチの家計を守る為にも」フン!
凌牙「その言葉そっくりそのままお前に返すぜ」ケッ!
璃緒「あーでも本当に何とかしないと……切り詰められるとこは切り詰めないとなー」
ドルベ「――ナッシュとメラグ、どうかしたのか?」
璃緒「あら、ドルベ」
凌牙「別に何でもねえよ。お前が気にするような話じゃない」
ドルベ「ふむ、なら良いのだが」
璃緒「それより上着羽織って何処かにお出掛けですの?」
ドルベ「床屋だ。昨夜、髪が伸びて来たからそろそろ散髪した方が良いと薦めてくれたのはメラグではないか」
璃緒「ああ、確かに……いや、ちょっと待って下さい」
ドルベ「?」
璃緒「そうね、出来ない事はなさそうだわ……そんなに難しくなさそうだし揃えるくらいは……」ブツブツ
ドルベ「ナッシュ、メラグは何をブツブツと呟いているのだ?」
凌牙「分からねえが何か嫌な予感がする。おい、璃緒。お前何を考えて……」
璃緒「……決めましたわ! ドルベ、床屋さんに行く必要はありませんわよ」
ドルベ「何?」
璃緒「代わりに私がドルベの髪を切って差し上げますわ!!」フンス
凌牙&ドルベ「…………」
凌牙&ドルベ「え?」
庭……
璃緒「うん、これで準備はパーペキですわね!」
ドルベ「…………」←新聞紙をケープ代わりに巻かれ椅子に座らされている
凌牙「大丈夫なのか? お前他人の髪なんて切った事ねえだろ?」
璃緒「甘いわね、凌牙。私を誰だと思ってるの?」フフン
凌牙「クソ生意気な俺の妹……痛っ! 脛を蹴るな、脛を!?」
璃緒「もう……私が切ればその分散髪代が浮くでしょ? 心配ないわよ。私は超起用だし、ドルベの髪型は遊馬とかと比べれば比較的簡単だし」
凌牙「それはそうだが……ドルベ、お前も嫌だったら断ってもいいんだぞ。こいつはプロの美容師でも何でも無いんだから」
ドルベ「まさか。メラグが私の為に髪を切ってくれるのだぞ? 感謝はすれど嫌だなんて思う筈が無かろうて」
璃緒「ありがとうございます、ドルベ♪」
凌牙「お前が構わないなら良いが……どうなっても知らねえからな」
ドルベ「しかし君に髪を切って貰えるなんて何だか照れくさいな」
璃緒「ふふっ、ばっちりカッコよくして差し上げますわね。そうだ、何か髪型のリクエストとかありますか?」
ドルベ「そうだな……キング・オブ・デュエリストの髪型とか少し憧れるな」
璃緒「それ逆に髪の毛の量が増えてるし流石に難しいですわね。ごめんなさい」
ドルベ「そうか。無理を言った私を許してくれ、メラグ」
璃緒「一先ず短めに揃える感じで良いかしら?」
ドルベ「メラグに任せる」
璃緒「ありがとうございます。では暫くの間、ジッとしていて下さいね」
ドルベ「分かった」
チョキチョキ……
凌牙「ほう……」
璃緒「~♪」
凌牙(言うだけの事はあるな。素人目だが順調に進んでいるように見える)
凌牙(正直始まる前は少し心配だったがこの調子なら大丈夫そうだな)
璃緒(流石私。何でも器用にこなせる才能に恐怖すら覚えますわね。これなら今後は凌牙の髪も私が切ってあげられるわね)ドヤァ
璃緒「ドルベ、後少しですからもうちょっとだけ我慢してくださいね……ん?」
ガサッ……
璃緒(何かしら? 今茂みに何か……?)
野良猫「にゃー」ヒョッコリンクス
璃緒「ひぃ!?」ビックリボー
ドルベ「ん? どうした、メラグ?」
璃緒「い、今猫が……茂みから出て来て……」ガタブルーアイズ
ドルベ「そういえばメラグは猫が苦手だな。大方何処かから迷い込んだのだろう。大丈夫、もう居ないぞ」アハハ
璃緒「わ、笑わないで下さいよぉ///」カァー
凌牙「お、おい。璃緒……」
璃緒「何よ、凌牙まで。仕方ないでしょ? 猫だけはどうしても苦手で……」
凌牙「そうじゃなくて髪……ドルベの……」
璃緒「え?」
ドルベ「メラグは怖がりだなぁ~」アハハ←前髪ぱっつん
璃緒「あ、あっーーーーーーー!?」
ドルベ「ん、どうかしたのか?」
璃緒「い、いえ……何でも、何でもありませんわ……あは、あはは……」ガタガタートル
凌牙「(ヒソヒソ)どうすんだよ、これ! ザックリ前髪切ってまるで痩せた南海キャンデーズの山里みたいになってるぞ!?」
璃緒「(ヒソヒソ)だ、だって急に猫が来るんだもん! 驚いて手元狂っちゃったのよ!?」
凌牙「(ヒソヒソ)やばいんじゃないのか、これは?」
璃緒「(ヒソヒソ)大丈夫よ、まだ修正は効くわ。ドルベも気づいていないみたいだし」
ドルベ「2人でヒソヒソと何を話しているのだ? トラブルか?」
璃緒「何でもありませんわ。全て順調の無問題(モウマンタイ)ですから」オカムラタケシ
凌牙(古い……)
ドルベ「そうか。流石メラグだな」
璃緒「ところでここで提案なのですが全体的にもっと短くするのはどうかしら? これから暑くなりますし丁度良いと思いますの」
ドルベ「メラグに任せる」
璃緒(よし、イケる。前髪を切り過ぎたのなら他を短くして調整すれば何とかなる筈……大丈夫よ、神代璃緒。私なら出来ますわ)ヒッヒッフー
璃緒「では再開しますわね。ジッとしてて下さい、ドルベ」スッ
帰って来た野良猫「にゃー」ヒョッコリミットレギュレーション
璃緒「きゃあぁーーーーー!?」ビックリボン
凌牙「おい、璃緒! お前また!?」
璃緒「え? あっ! ど、どうしよう! えっと、えっと……」アタフタキオン
ドルベ「メラグ?」
璃緒「何でもありませんわ! くっ、ならこっち側も切って調整を……ああ、切り過ぎて地肌が!?」
凌牙(泥沼だ……)
メラグ(何だか頭部がスースーして来たな……まあメラグに任せれば大丈夫だろう)
璃緒(もう何をどうしたらいいのか……助けて、凌牙ぁ~~~!)
数分後……
凌牙&璃緒「…………」
ドルベ「…………」チーン←ほぼ坊主
璃緒「あのですね、ドルベ……これは……」
ドルベ「メラグ……」
璃緒「……申し訳ありませんでしたぁーーー!!」←土下座
凌牙「俺の方からも謝る。こいつしっかり者に見えて偶に大ポカするのを忘れていた俺にも責任はある」
璃緒「本当に何てお詫びをしたら……ドルベェ……」グスッ
ドルベ「頭を上げてくれ、メラグ。別に私は怒ってなどいないから」
璃緒「え?」
ドルベ「確かに最初に鏡を見た時は斬新な髪型に驚きはしたが、改めて見るとこれも悪くは無い。寧ろこれから暑くなるのだから丁度良いくらいだ」
ドルベ「それに君は私を想って髪を切ってくれたのだろう? その気持ちだけで私は嬉しいのだよ」ニコッ
璃緒「ドルベ……貴方って聖人君子ですの……?」ジーン
凌牙(剥げたドルベが半泣きの璃緒に手を差し伸べている……笑うな、今は耐えるんだ俺……)ブルブル
凌牙「取り敢えずだ。この帽子やるから当分は外に出る時はこれを被ってろ。少なくとも髪の毛が生え揃うまでは」ゴホン
ドルベ「別に隠さなくても」
凌牙「被ってろ。他の奴が見たら驚くから」
ドルベ「君がそこまで言うなら……では散髪と帽子のお礼に今から私がお茶を用意するとしよう」
璃緒「お茶の用意なら私がします。寧ろ当分のドルベのお世話も……」
ドルベ「いいから、いいから。美味しいのを淹れて来るから少し待っていてくれたまえ」トコトコ
凌牙「ドルベが良い奴で助かったな、お前。だが反省はしろよ」
璃緒「言われなくても分かってるわよ。今後の散髪はちゃんとプロの方に任せる事にします」シュン
凌牙「それがいい」
璃緒「やっぱり誰かの髪を切るのは難しものなのね……だけどそうなるとこれから何処を切り詰めましょうか?」
凌牙&璃緒「…………」
璃緒「凌牙のお小遣いでいっか」
凌牙「いっかじゃねーよ」
<おわり>
引用元:https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1557739418/l50