ユートの部屋……
瑠璃「朝よ。起きて、ユート」
ユート「…………」
瑠璃「朝御飯の準備は出来てるわ。早く起きないと食べる時間がなくなっちゃうわよ?」
ユート「…………」
瑠璃「ユート」
ユート「……後、5分」
瑠璃「そんな事言って。5分経ったら後3分、3分経ったら後1分、そんな感じで伸ばす気でしょ? もうその手には乗らないわよ」
ユート「眠いんだ……頼むからもう少し……」
瑠璃「眠いのは夜更かししたからじゃないの? どうせまた夜遅くまでデッキを弄っていたのでしょう、自業自得よ」
ユート「…………」
瑠璃「だから寝ないでって。このままだと朝御飯食べれないどころか学校にも遅刻しちゃうよ?」
ユート「…………」
瑠璃「聞いてますか、ユート? おーい、もしもーし」
ユート「…………」
瑠璃「むぅ、なら最後の手段ね」
ユート「…………」
瑠璃「起きないと……キスしちゃうよ?」
ユート「……分かったよ」
瑠璃「え? ちょっと、何でそんなにすんなり起きるのよ?」
ユート「起きろと言ったのは君の方だろ?」
瑠璃「確かにそうだけど……」
ユート「なら問題ないだろ」
瑠璃「……嫌なの?」
ユート「何が?」
瑠璃「その、私にキスされるの嫌なの?」
ユート「……少なくとも寝込みを襲われるのは御免だな」
瑠璃「そんな人聞きの悪い言い方しないでよ。ユートが中々起きないのが悪いんだから」
ユート「それはすまないな。しかしだからと言ってあんな事を言うのは関心しない。相手によっては誤解するぞ」
瑠璃「私だってこんな事言う相手は選ぶわよ。ユートと兄さん以外ならもっと普通に起こしますから」
ユート「なら今度から俺を起こす時も普通でいいよ」
瑠璃「何だかユート、最近ちょっと意地悪になってない?」
ユート「君も1年前に会った頃と比べて随分変った気がするが……昔はもう少しお淑やかだった」
瑠璃「ちょっと、今はお淑やかじゃなくてお転婆とでも言うの?」
ユート「誰もそこまでとは言わないけど……バレンタインの後からやたらグイグイ来る様になったというか……」
瑠璃「もういいわ。後でデニスに言いつけるから」
ユート「誰だよそれ?」
瑠璃「気になる?」
ユート「いや、そこまでは……」
瑠璃「むぅ、じゃあ教えません。それより起きたなら早くリビングに来てね。誰かさんのせいで遅れた朝食を始めるから」
ユート「分かった。じゃあ悪いが部屋から出てくれないか」
瑠璃「そう言ってまた寝るんじゃないの?」
ユート「着替えるんだよ。瑠璃が気にしないなら別に居てもいいけど?」
瑠璃「……ユートの変態」
ユート「じゃあ先に行って待っていてくれ……ああ、瑠璃」
瑠璃「何?」
ユート「おはよう。今日もよい1日を」
瑠璃「…………」
――彼女と会って1年
――その間に色々と変化した事もあるけれど
瑠璃「おはようございます。今日もよい1日を」
――俺に向けてくれるその笑顔は、今日も変わらない
――これから先もその笑顔が続けばいいと
――この毎日が続けばいいと、俺は思った
<アカデミア進行3時間前>
引用元:https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/14562/1490004971/l50